有限会社翠水

見えざる調律師「乳酸菌」

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見えざる調律師「乳酸菌」

見えざる調律師「乳酸菌」

2025/12/18

 皆さんは「乳酸菌」という言葉から何を思い浮かべますか?

ヨーグルト、チーズ、漬物、あるいはあなた自身の健康管理でしょうか。

今回は乳酸菌について詳しく掘り下げてみたいと思います。

 

 

1 乳酸菌とは

 

 生物学的な視点に立てば、乳酸菌は単なる「食材」の範疇に収まるものではありません。

乳酸菌とは代謝の結果として糖から多量の乳酸を生成する細菌群を指し、ラクトバチルス属やビフィズス菌など、多様な種を含む壮大なグループの総称です。

 

乳酸菌は、人類にとって最も有益な細菌と言われています。

細胞の形状の違いから、棒状あるいは円筒状の形をした 乳酸桿かん菌 と球形の 乳酸球菌 に分類されます。

 

近年取り沙汰されることが多くなった ビフィズス菌 も乳酸菌の仲間です

 1899年、フランスパスツール研究所のティシエは、母乳栄養児の糞便中にYやVの字のように枝分かれしている細菌がたくさんいることを発見しました。彼はこの菌をラテン語で「枝分かれ」を意味するビフィッド(bifid)から、ビフィズス菌と名づけました。ビフィズス菌も乳酸をつくり、 ヒトの健康に寄与することから、 広義の乳酸菌に含められますが、次の2点が通常の乳酸菌と大きく異なります。

 

通常の乳酸菌は酸素があってもなくても生きていける(通性嫌気性細菌)ですので、まだ酸素が残っている環境である小腸までに多く棲みついています。

一方、ビフィズス菌は酸素があると生きて行けない(偏性嫌気性菌)ですので、彼等の活動場所は酸素が全くなくなる大腸の絶対嫌気状態の場所に限られます。

また乳酸菌は作らない酢酸を作ることもその違いの一つでもあります。


 

2 乳酸菌はどんな働きをしているのか


 私たち人間の腸内にも存在していることで知られる乳酸菌ですが、実は自然界のあらゆる場所に棲息しています。そして、発酵対象、発酵方式などの違いによりさまざまな現象を引き起こし、私たちの生活に大きな関わりを持っています。

 

乳酸を生成して周囲を酸性にする

 

 乳酸菌が作り出す重要な物質に乳酸と呼ばれる酸性物質があります

乳酸菌の発酵(餌の分解)過程では、オリゴ糖や食物繊維などをエサにして乳酸を作り出します。

腸内に棲息する乳酸菌が発酵すると、作り出した乳酸によって周囲のpHを下げる(酸性にする)ことで、酸性環境が苦手な食中毒細菌など人体に有害とされる他の菌群の増殖を抑えるはらたきがあります。pHの変化だけでは排除しきれないウイルスや菌に対してはバクテリオシンというさらに強力な抗菌作用のある物質を作り出す種があることも知られています。

 

保存作用

 牛乳をそのまま置いておくと腐敗菌が優性となり腐敗してしまいますが、乳酸菌による乳酸発酵が起きると、乳酸によって周辺のpHが下がることにより腐敗菌の活性が抑制されて保存性が高まります。

漬物という形で乳酸発酵を受けた野菜類が日持ちするのはこのためです。

また、乳酸菌はアミノ酸を生み出して発酵食品に独特の風味を与え、付加価値を高めます。

乳酸菌が人類の食品に大きな関わりを持って来たのは、この保存作用と味覚向上に依るところが大きいと思われます。  

 

 

保存作用を利用した食品

 

 どんな乳酸菌がどんな糖を分解するかによって、作られる物質も変わります。

乳酸菌はさまざまな食品製造にも利用されています。生きたままの乳酸菌が含まれているものもあれば、製造過程で加熱され、生きた乳酸菌が含まれていない食品もあります。

乳酸菌は生きていても、死んでいても健康づくりに役立つといわれてますので、乳酸菌を取り入れられる食品の選択肢は幅広いものになります。

 

 

ヨーグルト

 代表的なのが「ヨーグルト」です。牛乳に乳酸菌を加えると、牛乳に含まれる乳糖を乳酸菌が分解して乳酸発酵し、ヨーグルトができます。ヨーグルトの歴史は古く、紀元前から食べられていたといわれています。日本で身近に手に入るヨーグルトは牛乳を原料としているものが多いですが、世界では羊やヤギ、馬などの乳が使われている地域もあります。種類がさまざまなのは、加える乳酸菌の種類が異なるからです。ビフィズス菌、ガセリ菌、ブルガリクス菌、シロタ菌などの乳酸菌の違いにより、風味や形状の異なるいろいろなヨーグルトが生産されます。

液体である動物の乳が固まってヨーグルトに変化するのは、乳酸菌が作った酸によって乳に含まれるタンパク質が凝固するためです。

 

チーズ
 チーズは「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2つに大きく分けられます。ナチュラルチーズは、牛や羊、ヤギなどの乳に乳酸菌、凝乳酵素を加え、凝固したタンパク質を取り出して成形し、熟成させるか、または熟成をしないで作られています。

プロセスチーズはナチュラルチーズを原料にし、加熱して溶かしてから再び固めて作られているチーズです。スライスチーズやキャンディーチーズなどが該当します。

 

漬物

 漬けものは、野菜などを塩や調味液、ぬか床、酒粕などに漬け込んで、保存性を高めたものです。

漬物の生産過程では意図的な乳酸菌の添加は行わず、大気中からの自然な飛び込みを待ちます。それだけ自然界には乳酸菌の種が浮遊していることになります。

乳酸発酵を利用した漬物には、ぬか漬け、しば漬け、すんき漬け、野沢菜漬け、千枚漬け、キムチなどが知られています。

ヨーロッパで食べられている、キャベツを漬けたザワークラウトも漬けものの一種で、乳酸菌を摂取できます。

また漬物の範疇からは外れますが、食品保存の手段として、なれ鮨などの製造過程でも乳酸菌は活躍しています。

乳酸菌飲料

 乳酸菌飲料は、牛乳などを乳酸菌または酵母で発酵させ、甘味料や果汁、香料などを加えた飲み物です。さまざまな種類があり、生きた乳酸菌が含まれているタイプと加熱殺菌したタイプに分けられます。

日本初の乳酸菌飲料として私たちになじみのある「カルピス」もその製造過程で乳酸菌が活躍しています。「カルピス」は国産生乳を脱脂し、乳酸菌と酵母の集合体である「カルピス菌」を加えて2回発酵させることで、独自の甘ずっぱいおいしさが生まれます。

 

 

乳酸菌が含まれている食品を食べる頻度


 健康に乳酸菌を役立てたい場合、乳酸菌が含まれている食品をどのくらいの頻度で食べたら良いのでしょうか。乳酸菌を含む食品を摂取しても、消化器官を通過するだけで体内に乳酸菌がとどまる期間は短いと考えられています。そのため、乳酸菌を含む食品は、 適量を継続して摂取する ことが効果を高めることになります。
しかし、ヨーグルトやチーズをたくさん食べると脂肪を多く摂取してしまう可能性があり、漬けものであれば塩分の摂りすぎになる傾向も心配です。栄養バランスを考慮しながら取り入れていくことが大切です。

 

 

カラダの中にも乳酸菌がいる

 

 食品として取り込んだ乳酸菌は体内に留まることはありませんが、それらとは別の乳酸菌が私たちの体の中に腸内細菌として棲みついています。同じ乳酸菌の仲間であっても、腸内に留まることが許されるものと許されないものがあるのです。その判断は誰がするのでしょうね、とても不思議です。

近年の研究では腸内細菌の働きが私たちの健康と密接な関係を持っていることが解明されています。健康を司る実に7割以上もの鍵を腸内細菌が握っているのだそうです。

 

 

 

腸内細菌として乳酸菌を活躍させるには、さしあたって2つの概念を理解する必要があります。

 

プレバイオティクス

 

 乳酸菌の餌となる糖の一種であるオリゴ糖や、食物繊維のなどを摂取して腸内の菌数を増やしたり、活性を高めるという発想です。

プレバイオティクスを多く含む食品には野菜や果物、海藻、大豆や大豆製品などがあります。

栄養バランスを考慮しながら適量をとり入れることがおすすめです。

 

 

プロバイオティクス

 

 乳酸菌そのもの、もしくは乳酸菌を多く含む食品を摂取することで腸内の乳酸菌の数を増やすという発想です。

乳酸菌の働きに大きな期待を寄せている皆さんは驚かれるかも知れませんが、私たちが摂取する乳酸菌の大部分は 通過菌 と呼ばれ、腸内に定着することなく数日で体外に排出されてしまう宿命にあります。私たちが乳酸菌を含んだ食品を摂取するのは、あくまでも腸内に定着している常在の乳酸菌の助っ人として取り込んでいるのだという理解にとどめて置く必要があります。

私たちが期待を寄せている乳酸菌ですが、効果が得られるのは意外と短い期間ですから、その恩恵に浴したいのであれば、定期的にかつ継続して取り入れなければなりません。

 

 乳酸菌は生きているものが腸内に送られるのがベストではあるのでしょうが、摂取した乳酸菌の多くは活躍場所である腸内に到達するに死んで(殺されて)しまいます。それでも私たちはなにがしかの健康効果を感じることがあるのは、死んでしまった乳酸菌にも健康増進に役立っている一面があるからです。乳酸菌の 体内成分 には元々腸内に棲みついている既存の乳酸菌群の活性を高めたり数を増やしたりする効果があるようです。その意味では乳酸菌そのものがプレバイオティクスと言えないこともありません。

 市販の乳酸菌の中には、はじめから死んでいることを前提にしたものもあります。 乳酸死菌 と呼ばれます。

「当社の青汁には乳酸菌が100億個」というあれです。あの百億個は生きてはいないのです。

 

 

機能性食品

 

 食品には、栄養素や嗜好品としてだけでなく、第三の役割として体調調節(健康管理)の機能を備えているものがあります。体調調節機能とは、ヒトのいろいろな体調をコントロールし、健康増進に働く作用など、いわばヒトの生命活動に対するさまざまな調節機能のことです。そして、このような体調調節機能を有するものを 機能性食品 と呼びます。

医食同源という言い回しはどうもこの辺から来ているようです。

 

 

バイオジェニックス

 

 腸内環境の研究における機能性食品は、その作用機序からプレバイオティクス、プロバイオティクスという2つの概念に分類されることは前述しました。

ここではさらに「バイオジェニックス」(biogenics)と呼ばれる第3の概念を追加させていただきます。

 

「バイオジェニックス」は、腸内細菌研究の第一人者である農学博士、光岡知足氏によって提唱された言葉です。プロバイオティクスおよびプレバイオティクスは腸内細菌に作用することで体調調節効果を発揮すると考えられている一方で、「バイオジェニックス」は生体に直接的に作用し「腸内フローラを介することなく、直接、免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍効果、抗血栓、造血作用などの生体調節・生体防御・疾病予防・回復・老化制御などに働く食品成分」と定義されています。

 

 たとえば、ビタミン類や乳酸菌生産物質などがバイオジェニックスに挙げられます。なかでも乳酸菌生産物質は、腸内の善玉菌と呼ばれるビフィズス菌や乳酸菌が生み出した成分であり、文字通り “乳酸菌” によって “生産される物質(代謝産物)” です。

乳酸菌生産物質には、短鎖脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミンB群、葉酸、トリプトファン、リフレッシュ成分であるステリルグリコシドや大豆サポニン、オメガ3など、752種類以上の有用な成分が含まれています。

乳酸菌生産物質は多種多様な成分で構成されていますので腸内細菌叢への寄与だけでなく、直接的に人間の健康への作用が期待できる物質なのです。

 

 

乳酸菌生産物質は腸内でしか作り出せないのか?

 

 乳酸菌生産物質が私たちの健康と深い関係を持ち、その機能を良い方向に導いてくれる物質であることは良く理解できました。それでは腸内という限られた空間、そして腸内フローラという細菌環境に委ねることなく乳酸菌生産物質は作れないのでしょうか。人間の腸内以外の場所でもっと効率よく、安定した生産量で再現できたら素晴らしいと思いませんか。

 

  近年、乳酸菌生産物質を主成分とするものが多数商品化されています。

乳酸菌や腸内細菌を意識することなく、その生産物質のみのメリットを享受することができるようになったのです。大きな朗報であることは間違いありません。

乳酸菌生産物質を上手に活用することで、自身の腸内環境の改善を上回る効果が期待できるかも知れません。

 

その特徴とメリット

      生きた菌ではない

  •   生きた菌は胃酸や熱で死滅しやすいが、乳酸菌生産物質はダイレクトに腸へ届く。
  • 即効性
  •  腸内フローラで菌が物質を作り出すのを待つ必要がなく、有用な成分をそのまま吸収できる。
  • 主な有効成分
  •  酪酸、酢酸、プロピオン酸といった短鎖脂肪酸などが含まれ、これらは腸内環境を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑える役割を果たす。 
  •  

期待される効果

  • 免疫力の活性化
  •  腸内の免疫細胞(パイエル板など)を刺激し、風邪予防や自己治癒力の向上に寄与する。
  • 腸内環境の改善
  •  善玉菌の働きを助け、便通の改善や全身の健康維持をサポートする。

    最新の研究

    アレルギー抑制や美肌効果など、多岐にわたる機能性が解明されている。

 

 

 

 

まとめ

 

 乳酸菌が棲息し、活躍しているのは人間の腸内に限りません。私たちの身の回り、自然界の至る所にその姿を見ることができます。そこでは私たちが乳酸菌に抱いている従来のメージや理解以上に重要な存在として活躍をしているようです。発酵という形の乳酸菌生産物質の生産とそれらを活用する生物の営みがあり、自然環境と緊密な因果関係を構築していることが想像されます。そして私たち人間もその一部にすぎません。

私たちが身の回りを観察するに当たっては、単なる物質の消長のみにとらわれることなく、そこに介在する目には見えない微生物の介在に思いをはせることで、生命界の偉大なメカニズムを理解することができるのではないでしょうか。
 

 

 

 

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