○○○ジェルという商品が海水魚店で売られていました。色が赤くとろりとしていて光合成細菌のような効能を謳っていますが、海水水槽に入れても生きた状態で働くのでしょうか。
2025/01/27
光合成細菌には様々な種類がありますが、○○○ジェルはその中の○○○何とかという属の菌種を培養し、増粘剤と混ぜて使い勝手を良くした物ではないかと思います。
光合成細菌は培養メーカーによってその種類が異なるようですが、私の経験では種類による際だった優劣はないと感じています。
また光合成細菌は単独の種のみを純粋培養するのは大変難しく、培養期間が長くなれば数種類の光合成細菌の混合液となってしまうことが多いようです。
弊社のできたてPSBは自社培養の光合成細菌ですが、数種類の菌種が混じっているものと考えています。
これはスタートラインの種菌を某研究所より購入したときからそうなっていたからです。
光合成細菌を活用する場合、単独の種のみを用いることにさほど大きなアドバンテージを感じることはありません。
むしろ数種が混合培養されたものの方が、もしかしたら広い効果が得られるのではないかとすら考えています。
光合成細菌に対する私の考え方は、「素人でも簡単に増やせるから自分で培養して使いなさい」というもので、培養の為の餌も販売しています。
これまで光合成細菌を入れすぎて水槽環境にダメージを与えたことは一度もありません。
光合成細菌の効果が投入量に比例してするのであれば、高価な市販品をちびちび使うよりも自分で大量培養したものをふんだんに使う方がはるかに経済的で効果もあると考えています。
○○○ジェルという商品がどの程度の価格で売られているのかは存じませんが、弊社のものに比べればおそらくかなり高額なものと想像します。
なぜなら単独培養を可能とする培養設備の整った専門メーカーが作っており、それらへの先行投資を回収するには絶対に安価では販売できないと考えるからです。
何度も言いますが、ある種の光合成細菌のみを純粋に培養するにはそれなりの技術と設備投資が必要です。
純粋培養のできない弊社としては、それはそれで尊敬すべき企業努力の結果と評価しています。
一方で光合成細菌を用いることで得られる効果と購入価格を比較した投資対効果を考えた場合、必ずしも○○○ジェルが他の光合成細菌をはるかに凌駕する『スーパー光合成細菌』であるとは考えられず、素人が培養した『うさん臭い光合成細菌』であってもそれに近い効果は得られるものと考えています。
一般論としてバクテリア製剤の効果を高める秘訣は大量に、かつ頻繁に投入するところにありように思えます。
あなたの水槽には硝化菌などの有用微生物の他に既に多種多様な微生物が棲み着いていると考えてください。
水槽の維持期間が長ければ長いほどそれらの生物相は安定したものとなっているはずです。
雑多な微生物群がいわゆる『先住種』『優占種』として縄張りを作っていると考えて下さい。
いわば水槽微生物群の中の『勝ち組』と称される菌種です。
そのような安定している微生物相の中に、ある日突然よそ者の菌が飛び込んだとしましょう。
彼等の運命はどうなるのでしょうか?
生物資材への私の考え方では、彼等はまず九分九厘駆逐されてしまうと思います。
人間社会で言うところの反社勢力の縄張り争いのようなもので、長い年月の中で水槽内に勝ち残った先住種の『シマ内』に流れ者のバクテリアが飛び込んだとしても、土地の地回りであるこわいお兄さんバクテリアに半殺しにされて最悪の場合には殺されてしまうのです。
バクテリアの世界は早い者勝ちと考えられます。
先住者が多くの仲間達とコロニーを作っている中に新参者のバクテリアが飛び込んでも、相当の菌体数でなければほとんど勝ち目はないようです。
私たち人間も体の表面から消化器の中まで常に常在菌と呼ばれる菌が盤踞しており、他からの侵入者を排除することで人間の健康を維持しています。
人体と常在菌はある意味で共生関係にあるとも言えるのです。
あなたの水槽においても然り、魚介類の体表から底砂の隅々にまで常在菌である先住菌が棲み着いており、日夜水槽の平穏を守っているのです。
それでは水槽に投入された光合成細菌は水槽内で何も良い働きができないのでしょうか?
○○○ジェルがどの程度の塩分濃度で培養されたものか全く存じませんが、市販されている光合成細菌の多くは淡水に近い塩分濃度で培養されていると思われます。
そのような培養環境で作られた光合成細菌は淡水の水槽であれば、投入後しばらくは生きながらえてなにがしかの役に立つかも知れませんが、海水水槽に入れられれば塩分濃度の違いによって短期間で死に絶えると思われます。
光合成細菌は『古細菌』と呼ばれる古くから地球上に生息している、その名の通り古顔の細菌グループに属し、それ故に新しい種類の菌種達は大先輩の古細菌達と比較的うまくつきあえ、共生関係をもつこともあるのですが、それにも自ずと限界があるようで、投入された光合成細菌が何時までも生き残ることはできず、やがて死に絶えることになると考えるのが無難なようです。
それでは高いお金を出して購入した光合成細菌を水槽に入れる意味が無いではないかという素朴な疑問が生まれてきます。
大変無責任な言い回しに聞こえるかも知れませんが、それはそれで良いのです。
なぜなら光合成細菌の体内にはアミノ酸をはじめとしてカロチンやビタミンB12などの有益な成分が大量に含まれており、菌が死んだ後にはこれらの有用成分が他の菌群にうまく活用され、彼等の活性を高める効果があるからです。
極論すれば光合成細菌が働かなくとも、あるいは必ずしも生きていなくとも良いのです。
健康食品である青汁のCMなどで、100億個の乳酸菌を含んでいますなどというフレーズがうたわれています。
あの乳酸菌は 乳酸死菌 と呼ばれるもので、生きてはいません。
それでもそれが腸内に到達すると腸内細菌の餌となって健康維持に貢献するのです。
詐欺でも何でもありません。
乳酸死菌の存在そのものが医学的には高い評価を受けているのです。
光合成細菌を耕作地や家庭菜園などに撒きますと、土の中の放線菌と呼ばれる菌群の数が一気に増加します。
放線菌は植物に悪さをする土中の悪玉菌を抑制する警察官のような働きをしています。
結核の特効薬として知られる『ストレプトマイシン』という抗生物質は放線菌の仲間(ストレプトコッカス属)から作られます。
皆さんもよくご存じの腸内細菌である『ビフィズス菌』も放線菌に近い仲間です。
あの臭い光合成細菌ではありますが、人間が飲めばビフィズス菌を増やすことができるのではないかと想像しています。
実はインドには光合成細菌をワインで割って飲むという伝承医療があることをインターネットで知りました。
光合成細菌を飲むことにはかなりの抵抗もあるでしょうが、オシッコすら薬代わりに飲む人々もいる位ですから、効果さえあれば多少の臭いなど問題にはならないのでしょう。
もうお分かりと思います。
光合成細菌は死んでいても良いのです。
死んでもその体内成分が既存の常在菌の餌となり、水槽環境の改善に役立つのです。
そうであるならば、投入する菌の量は多い方が効果があるのではないでしょうか。
また光合成細菌は何も高価なものを用いる必要はないというのが私の持論です。
「スーパー光合成細菌」ではなくても、二流三流の光合成細菌であっても、自分で増やした菌を大量に投入する方が光合成細菌の本来の使い方としては正しいと考えるようにしています。
以上弊社の『できたてPSB』と『○○○ジェル』との比較と光合成細菌の使い方について持論を展開させていただきました。
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