二価の鉄の投入量について教えてください。
2025/02/02
現在の二価の鉄の濃度は15,000ppmです。(以前は5,000ppmでした。)
200g容器のプッシュポンプから出る溶液の量は1プッシュにつき1mlとなっています。
これを60cm水槽(水量50リットル)に1プッシュ滴下しますと、飼育水の二価鉄イオン濃度は0.3ppmになります。
通常は0.1~0.3ppmを目安にお使いいただくのがベストと考えています。
長期間水換えをしていない水槽では飼育水の中にリン酸イオンが高濃度に蓄積しています。リンそのものは様々な形で水槽内に存在するのですが、固形物として水底に落ちているものは魚介類にもバクテリアにも悪影響を及ぼすことはありません。
問題となるのは水に溶けた形のもの、一般にイオン化という言い回しをしますが「水溶性」のものは生物の細胞膜を通過できるサイズですので、良きにつけ悪しきにつけ生物になにがしかの影響を与えます。
これを「オルトリン酸」と呼び、水槽内への蓄積物としては硝酸(塩)と並んで適正量にコントロールしなければならない物質として知られています。
投入した二価の鉄(二価鉄イオン)の多くは水中のリン酸イオン(オルトリン酸)と結合してリン酸鉄に姿を変え、固形物として沈殿することになります。
高濃度のリン酸イオンは水槽の景観にとっては有害な物質ですから、この化学反応は特に問題とはなりませんし、むしろ水質管理の面では有益であると考えています。
リンの過剰な蓄積によって水質悪化が進行してしまった自然水域では安価な酸化鉄を散布してリンの弊害を押さえ込むような手法も採られている程です。
長期間水換えをしていない水槽では飼育水の中にオルトリン酸が過剰に蓄積していることが予想されます。
その中に二価の鉄を投入しますと、二価鉄イオンはオルトリン酸と結合してリン酸鉄となって沈殿してしまいます。
リンと結合してしまった二価鉄イオンはオルトリン酸を減らすだけで役割を終えてしまい、二価鉄イオンとして動植物に吸収されることはありません。
オルトリン酸が多ければ多いほど二価鉄イオンは沈殿物になってしまう分が多くなるのです。
そのような状態では二価鉄イオンが過剰になる弊害は起こりません。
ただし定期的に水換えを行っている(管理の良い)水槽ではリン酸イオンの量も適度に希釈されていますから過剰な二価鉄イオンを減らす、いわゆる緩衝作用のようなメカニズムが徐々に効きにくくなりますので、二価鉄イオンの入れすぎには注意しなければなりません。
あなたの水槽は10リットルということですので、200g容器の二価の鉄では1プッシュ1mlを入れますと、二価鉄イオン濃度は1.5ppmになってしまいます。この濃度はやや濃すぎますので、水を入れた別の容器に1プッシュしていただき、その1/5程度を水槽に入れていただければと思います。
10リットルの水槽を数本お持ちになっているのであれば、それぞれにこの希釈溶液を分けてお使いください。
またあらかじめ5倍程度に希釈した水溶液を別の容器に作り置きしてお使いいただくこともできます。
希釈直後は薄緑色の水溶液になりますが、時間の経過と共に茶色が濃くなってきます。
これは希釈液中の溶存酸素によって二価鉄イオンが三価の鉄に変えられるためで特に問題とはなりません。
使い切れなかった残りの水溶液は切り花や植物に与えてください。
小型水槽をお持ちのお客様用に70g容器の小型ボトルも用意しています。
こちらのプッシュポンプの溶液の吐出量は0.25mlですので、直接1プッシュで良いと思います。
この量を週に1~2回投入すればベストです。
----------------------------------------------------------------------
翠水 -sui-sui-
神奈川県相模原市中央区東淵野辺5-16-23
電話番号 :
042-755-0803
FAX番号 :
042-733-6193
アクアリウムのお困りごとを相談
----------------------------------------------------------------------