底質改善バチルス菌とバチルス・イオ200メッシュを同時に購入しましたが、その違いや使い方がよく分かりません。
2023/11/23
ヤクルト中央研究所が某海域の海底より採集した4種類のバチルス菌をもとに商品化されたものと聞き及びます。
塩分耐性が高く、海水でも淡水でも同レベルの効果を発揮いたします。
バチルス菌は水槽内の様々な有機物(魚介類の排泄物、餌の残り、付着物など)を分解する能力に優れています。
また近年の研究ではビブリオ菌などの病原菌の一部を溶融させる効果も発見されています。
底質改善バチルス菌は菌体を2~5mm前後のゼオライトに吸着させた状態のものを不織布に入れていますので、袋ごと底砂の上や濾過槽などに置いてください。
芽胞という休眠状態にあるバチルス菌は水に触れることでやがて目を覚まし袋の周辺に広がって行きます。
50gの袋で1㎡以上の広さに対応しますので、一般的な広さの水槽には1袋で効果があると考えています。
大型の水槽をお持ちの場合は床面積に応じて2袋以上をお使いください。
底砂や濾過槽の目詰まりが解消され、ガラス面やアクリル面の付着物も減少するはずです。
2 バチルス・イオ200メッシュとは
M微生物研究所より入手した耐熱性バチルス菌2種類を自社培養したものに土壌細菌を混ぜ、200メッシュの医王石微粉末に吸着させたものです。
バチルス菌や土壌細菌などの微生物の働きと、医王石の成分による薬効の相乗効果を期待しています。
粒子が細かいので、水に溶かして水槽内に散布してお使いください。
投入直後しばらく濁りが発生しますが、30分ほどで元の透明度に戻ります。
菌体は濁りが及ぶ範囲に均等にばらまかれることになりますので、即効性という意味ではこちらの方にアドバンテージがあります。
効果については底質改善バチルス菌に近いものがありますが、優劣を比較したことはありません。
水槽内で水質を維持するために働く微生物群の多くは大気中から水槽に飛び込んだ土壌細菌の末裔であることが想像されます。
水槽内に土壌細菌を導入することは、それらの微生物群の多様性を維持して微生物同士の相乗効果を高めるものと考えています。
私たち人間の場合には健康を維持するための免疫機能の7割に腸内細菌が関係していると言われています。
魚介類においても腸内細菌と病気予防の関連性は同様の因果関係にあると思われます。
腸内細菌もその元をたどれば、食物などと一緒に口から入った様々な雑菌群であることは明らかで、その多様性は指紋と同様に一人として同じ組成を持つものはいないと言われています。
水槽によって棲みつく微生物群の組成は異なる。
似たような水槽でもその内部に棲み着いている微生物群には微妙な違いがあり、同じ管理をしていても1本1本の水槽に違った個性が表れるものです。
Aさんが管理されている水槽がセッティング後かなりの期間が経過しているものであるならば、水槽内にはすでにA菌群とも呼べる既存のバクテリア群が棲息しています。
彼等は様々な菌群との争いの中で生き残ったいわゆる 勝ち組 に相当する優占種と捉えることができます。
Aさんの水槽環境に最も適合した菌群であると思ってください。
バチルス菌だけでなく、市販の○○菌などというものを投入することは、水槽内の先住菌群にすれば、外界から新顔の侵入者が飛び込んでくることでもあります。
細菌というものは本来排他的なもので、自分のテリトリーを冒す他の細菌とはバッティングすることが多いようです。
光合成細菌のようにうまく折り合いを付けて 共生関係 を築く場合もありますが、それは希なケースです。
従って、底質改善バチルス菌やバチルス・イオもA菌群にとってはやっかいな侵入者として受け取められるのかもしれません。
それでもそのような菌を追加投入をする意味は、A菌群の持っていない能力を水槽内に導入し、少なくとも投入後しばらくの間、彼等が生きているうちはその能力を発揮してもらうことで、水槽環境の改善が促されるからです。
一般論として、新規に投入した菌群が既存の優占種を圧倒してその地位が逆転することはほとんどないと思っています。
やがてはA菌群に敗れ去り、菌体の数が減ってしまうはずです。
なにしろA菌群はAさんの水槽内の条件に最も適合して勝ち残った優占種なのですから。
また水槽内には細菌群の他に原生動物の仲間も数多く棲息しています。
彼等の主な食料は細菌そのものです。
しかし細菌には原生動物に食われても食われてもそれを補うに足りる圧倒的な繁殖力がありますので、食い尽くされることはありません。
バチルスも同様に食われる宿命にあります。
新たに水槽内に投入されたよそ者の菌は既存の優占種と原生動物双方からの圧力を受け続け、やがて徐々に数を減らして行くものと思われます。
新たな菌群を水槽に投入する時に知っておかなければならないことは
1 新参者は既存の優占種によって排除される。
2 すべての菌群は原生動物によって捕食される宿命にある。
ことです。
新しい菌を投入すれば、水槽環境が劇的に改善され、その状態が継続されるなどとは決して考えてはいけません。
その現象は彼等が生き残っているという限定的な状況下でしか実現しません。
やがて彼等も衰えて消え去る運命にあるのです。
今の観賞魚業界に警鐘を鳴らすとすれば、これさえ入れれば全てが解決されるというような謳い文句の微生物資材(バクテリア商品)がまかり通っていることです。
再三述べてきたような水槽内の優劣関係があるのならば、そのような甘い期待を抱いてはいけないのです。
弊社で販売しているバチルス菌商品はそれ自体は決してうさん臭いものではありません。
名の通った研究機関が開発したもので、実験室内ではそれなりの素晴らしい効果を発揮したことは間違いありませんが、実際に皆さんの水槽内で同じ結果が再現される保証はどこにもありません。
何が言いたいのかというと、所詮よそ者の菌は既存の優占種にとって侵入者でしかなく、やがては駆逐されてしまう運命にあるのではないかということです。
底質改善バチルス菌もバチルス・イオも菌が生き残っているうちはかなりの働きをするでしょうが、時間の経過と共にその絶対量は減少し、効果も失われてしまいます。
従ってその効果を持続させたいのであれば、定期的に菌体の追加を行い、優占種と互角の勝負ができる 菌体密度を保つ 必要があると言うことになります。
でももしかしたら、投入した菌群の一部がAさんの水槽環境にうまく適合して、従来の優占種であるA菌群を凌駕する可能性も決して否定はいたしません。
生物の進化というものは様々な外圧に打ち勝つところから始まる例が多いようです。
外部から訳の分からない菌群を投入することは、水槽内の優占種の入れ替えを促し、従来以上に強固な細菌バランスを築く可能性も秘めていると考えたいのです。
底質改善バチルス菌の有効期間は1か月から2か月と考えています。
その期間が経過したら次の袋を投入して下さい。
バチルス・イオは週に1回程度適当量を水に溶かして散布してください。
底質改善バチルス菌は設置型、バチルス・イオは投入型という使い方で区別をしていますが、両者を併用しても何ら問題は起こりません。
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