土壌細菌
2025/01/07
土壌細菌について
水槽管理のベテランである皆さんは、生き物を水槽で飼い続けるには水を浄化してくれるバクテリアの働きが必要だと言うことはすでにご存じですね。
バクテリアの数が少なかったり、うまく働いてくれなかったりすると、短期間のうちに水質が悪化し、水が濁ったり悪臭を放ったりします。
最悪の場合は飼育生物が病気になったり死んでしまうこともあります。
水槽内のバクテリアの働きはとても重要で大切な存在であり、皆さんがそれを十分ご理解されていることを前提に話を進めます。
それではこの大切なバクテリアはどこから来るのかご存じですか。
100億光年の宇宙のかなたから来るのではありません。
その辺の公園や空き地、道路の隅っこなどから直接あるいは細かな土ぼこりなどに乗って飛んでくるのです。
周辺に畑や田んぼがある地域にお住まいであれば、それらの耕作地が彼らの故郷ということになります。
あなたが大きく深呼吸をすると、あなたの肺の中には1万から10万匹ものバクテリアが吸い込まれるのだそうです。
そうです彼らはもともとは土の中に住んでいた生き物ですが、自らの乾燥状態により、あるいは乾燥した土埃と一緒に旅をしており、私たちの身の回りには無数に浮遊していると思ってください。
様々な種類があるのですが、ひとくくりに 土壌細菌 と呼んでおきましょう。
実は太陽系の惑星 水金地火木土天海 の中で 土 があるのは地球だけです。
それ以外の惑星のどこにも土はありません。あるのは岩と砂だけです。
土は様々な自然現象とそこに棲みついた動植物が気の遠くなるような歳月をかけて作り出したもので、その中には微生物も含めた動植物の遺骸(有機物)も大量に含まれています。ですから生物が生存しない惑星には土を作り出すメカニズムそのものがないのです。
バクテリアもゼロから自然に湧いて来るものではありません。
必ずそのルーツがあるはずです。
水槽内に棲みついたバクテリアのそもそもの祖先は、好むと好まざるとに関わらず
空気中から水槽に飛び込んできたバクテリア としか考えられません。
ただしそれらのバクテリアが全て水槽内に定着できるわけではありません。
水は苦手なんだよな、なんかしょっぱいな などと彼らが生き続けるのに適さない環境であれば、そのまま死に絶えてしまいます。
空気中に浮遊している数十万、数百万、あるいは億単位のバクテリアの内、たまたま生き残る条件に遭遇できたものだけが定着できるのです。
バクテリアは条件が整えば、倍々に増えて行きます。
これを倍加、それに要する時間を倍加時間と呼びます。
皆さんが最も増えて欲しいとお考えになるであろう 硝化細菌 の場合、倍加に要する時間は24時間から48時間と考えられています。
病原菌などの倍加時間が数十分から数時間であることに比較すると、ずいぶんと時間が掛かるものですね。
水槽内にはやがて数十億、数百億あるいはもっと多くのバクテリアが棲みつくことになるのですが、倍々ゲームであってもスタート時の数が少なければ、十分な働きを期待できる数にまで増えるにはそこそこの時間が必要であることはご想像いただけると思います。
硝化菌が十分に増えて安心して魚が飼える状態になることを水槽の 熟成 が済んだと表現しますが、自然任せにした水槽では熟成に要する期間は一月半から二ヶ月と言われています。
熟成が完了するまでの間はアンモニアや亜硝酸などの有毒物質が飼育水に存在することになりますので、その毒性を薄める為には頻繁な水替えをしなければなりません。
これは多くの皆さんが経験され、意外と手間暇の掛かる作業でもありますから、私たちはいかにして熟成を早めることができるかに知恵を絞ることとなります。
一般に行われるのは、すでに熟成を終えた他の水槽からバクテリアを移植することです。
底砂や濾材を用いる場合もあれば、飼育水そのものを大量に投入することもあります。
隣接する水槽同士であれば、おそらく似たようなバイオマスの組成になると思われますので、この方法が最も安全でかつ安価なバクテリアの種付けになります。
既存の水槽をお持ちでない方には、 市販のバクテリア を投入する方法もありますが、おそらく投入できるバクテリアの数は底砂や濾材に生息しているものに比べれば微々たるものですので、コストが掛かる割には大した期間短縮とはならないようです。
ただし評価の高い優れたバクテリアを種付けすることになりますので、熟成完了時には素晴らしい環境ができあがる可能性もあります。
将来性を買うのであれば決して悪い方法ではありません。
ただいずれにしても水槽内の微生物の間には 熾烈な生存競争 が待っています。
どんなに優れたバクテリアでも未来永劫その水槽内で優占種として生き残れるかどうかは神のみぞ知るところとなります。
もうひとつ考えなければならないのはバクテリア同士の関係です。
個々のバクテリアがその種だけでコロニーを作って生きて行ければ良いのか、あるいは相性の良い他のバクテリアといわゆる 共生関係 を築いて、それぞれが単独でいるよりも効率の良い活性を示すのかという問題です。
皆さんがよくご存じの PSB(光合成細菌) を例にご説明しましょう。
PSBは嫌気(酸素を嫌う)細菌ですから酸素が20%もある通常の大気のもとではそれほど活躍ができないと思われるかも知れませんが、酵母菌や納豆菌と隣り合うと彼らが酸素を消費してくれるので、PSBも通常の生活をすることができるようになります。
また枯草菌(バチルスと呼ばれる仲間)や乳酸菌と隣接すると、大気中の窒素を植物が使える窒素肥料に作り替える 窒素固定 の能力が互いに飛躍的に増加します。
本来、バクテリアは他のバクテリアを攻撃して自らの生息場所を独占するという、排他的な生き方をするものなのですが、隣接する他のバクテリアとの組み合わせによっては、お互いの弱点を補い合ったり、何かを生み出す力が飛躍的に向上するような 相乗効果が期待される場合もあるのです。
水槽内での働きを期待してバクテリアを種付けする場合、それらがいかに実験室内で優れた働きを示した種類でも、それだけを投入するよりも、いくつかの共存可能な組み合わせのまま複数の種類を ご一統様 として導入する方が、その後の生残率や生産(分解)効率などが好転する可能性が高まるかもしれません。
土の中には好気、嫌気の正反対な呼吸手段をとる種類もいれば、病原菌の跋扈を抑制するような拮抗作用を示すもの、菌体内に他のバクテリアの増殖を促す栄養成分を秘めたものなど多種多様なバクテリアが天文学的数字で同居しています。
それらの間で行われる殺し合い、助け合い、喰う・喰われるなどの複雑微妙な相互関係によて微生物の世界は成り立っているものと思われます。
彼らの生息数は驚くなかれ1グラムの土の中に100億匹にもなるそうです。
近年は腸内細菌の働きが私たちの健康を大きく左右することが分かってきました。
実は腸内細菌のルーツも様々な食物と一緒に消化器の中に取り込まれた 土壌細菌 と言っても過言ではありません。
腸内細菌の組成は指紋と同じように一人一人全く違うものになっています。
それは人が腸内細菌を育む成長過程において取り込んだ土壌細菌の種類や量が違うからで、バラエティに富んだ種類を取り込んだ方が広い免疫力を獲得しやすいとされています。
また多少なりとも不衛生と言われるような環境に接していた方が強い腸内環境を構築できる可能性もあります。
昨今はやりの 抗菌・除菌 などという言葉に踊らされている清潔好きのお母さんは、結果として 免疫力の弱い、アレルギー体質の お子さんを育てていることになります。
それは本来幼児期に巡り会うべき様々なバクテリアの種類とその絶対量を減らしてしまっているからです。
ちなみに私たち人間の体重のうち概ね1.5kgは腸内細菌の重量であるとされています。また毎日排泄するウ○コの中には1g当たりなんと1兆匹、約500種類もの腸内細菌がいることも分かっています。人体に取り込まれた土壌細菌は腸内で100倍にまで増えたことになるのです。
これらの推論から導き出される水槽への種付け(バクテリア移植)として容易に思いつくのは、
田んぼや畑の泥を放り込んだら勝負が早いんじゃねえの!
というかなり大胆な発想です。
土に1g当たり100億匹もいるのなら、10g入れたら1000億、100g入れたら1兆匹じゃん。
バイコムの何本分になるんだ?という素朴な欲求が湧いてきます。
これは決して間違った発想ではありません。
ただ、田んぼの泥の中にはバクテリア以外の微細な生物やヒドラやヒルといった水槽内に持ち込みたくない生物の混在も危惧されます。
これらの生物が侵入してしまうと、根絶はほとんど不可能ですので、そのリスクも天秤にかけて結論を出すべきかと思います。
最終的な結論です。
水槽の環境構築には様々な微生物やバクテリアの働きが欠かせません。
彼らが棲みつくことではじめて生物を飼える水質環境が構築されるからです。
ところが彼等有用微生物の働きが私たちの期待する浄化機能を示すまでにはかなりの時間が必要です。
これまでその時間短縮の為の様々な方法をご紹介してきました。
1 すでにいくつかの水槽をお持ちの皆さん
既存の水槽からの底砂移植をお奨めします。
2 何もかも初めての水槽の場合
お近くに田んぼや畑がある方は、畑の土を一握り放り込んでも良いでしょう。
熟成までの時間はかなり短縮されますが、田んぼの土にはかなりのリスクがありますので要注意です。トラブルフリーで熟成が終わればこれほど安上がりな方法はありません。
3 都市部に住んでいて、若干懐具合の温かい方
評価の高い市販のバクテリアで種付けをしてください。
ただし菌体数はたいしたことはありませんので、時間短縮の効果もたかが知れています。メリットは水質維持に定評のあるバクテリアが使えること、将来的に水槽内に跋扈する可能性のある危険生物の持ち込みが皆無であることなどです。
4 裏技としておすすめしたいのは 農業用の微生物資材 を用いて種付けをすることです。
本来田んぼや畑の土壌改良や収穫増を目的として用いられるものですから、自然界の土壌内の生物組成と大きくかけ離れることはありません。
当然ながら危険生物の混入もありません。
この手の農業資材の多くは単独の微生物で構成されることはなく、いくつかの共生微生物との混合状態になっていることが多く、投入直後から共生関係による相乗効果が期待されます。
ただし、中には肥料成分と抱き合わせのものもありますので、急激なアンモニア濃度の上昇を防ぐ為には窒素肥料の含有量は確認しなければなりません。
もちろん、導入した微生物資材の全てが水槽内の環境に適合し、数を増やす保証など全くありませんので、その大部分が死んでしまう可能性も覚悟をしておかねばなりません。
微生物資材に含まれるバクテリア群は種類も多く、また共生関係を意図した組み合わせが考慮されていることなどから、たとえ水中への定着率が低くとも即戦力として働いてくれる可能性は高いと思われます。
水槽内に定着するバクテリア群のルーツを探ると、そのほとんどが土壌細菌であることは前述しました。
私たちはついつい水槽内での事象にばかり目を向けてしまいがちですが、彼らの侵入経路を遡って行くと、これまでに思いもしなかったバクテリア接種の方法が見え隠れしていることに気づかれるはずです。
すでに優占種によって占拠されている微生物環境に新たな菌種を合流させることにはかなりの困難が伴います。
なぜなら自然界においては新参者、よそ者は排除される宿命にあるからです。
新顔のバクテリアが既存の優占種に打ち勝って生き残れるかどうかは、ひとえに投入量と投入頻度に掛かっています。
高価なアクアリウム専用のバクテリアを用いるのも決して誤りではありませんが、それ以上のコストパフォーマンスを秘めた農業用の微生物資材があるのであれば、それらを用いるという冒険に興味は湧きませんでしょうか。
弊社おすすめの 土壌細菌
ここで用いる土壌細菌とは弊社が皆様にご提供する 商品名 です。
直感的に理解していただけるようにそのものズバリのネーミングとしました。
その名の通り、本来耕作地である畑や田んぼなどに生息し、相互に影響を及ぼし合いながら土壌環境を構築している土作りの力を持った様々な微生物群です。
好気性菌40%嫌気性菌60%を主軸に、放線菌、窒素分解固定菌、光合成細菌など60種あまりの有効善玉菌のみをバランスよく配合した複合菌体を、特殊製法により超微粒子エマルジョン状態にした高濃度液体微生物資材です。
池や水槽内に蓄積している有機物残渣や飼育生物の排泄物等を効率よく分解し、水質環境を改善しながら水生動植物の健全育成を促す人畜無害の生きている微生物資材です。
従来の微生物資材の用途は耕作地の土壌改良や収量アップを目的とするものですから、肥料成分を含有するものが多いのですが、弊社の土壌細菌は窒素系の肥料成分はほとんど含んでいませんので、飼育水のアンモニア濃度が上昇するようなことはありません。

使用方法
・屋外の池には水量に対して3000〜5000倍の目安で投入してください。
・池は流入口からだけでなく、満遍なく行き渡るようなるべく広範囲に散布してください。
・一般魚用水槽、農業用潅水槽には、水量に対して1500倍〜3000倍を目安に投入します。
・アクアリウム用60cm水槽(約50L)には容器頭部に付いている秤量器で1~2杯(15ml~30ml)投入してください。プッシュポンプ は1プッシュで1ml溶液が出ます。
・水槽の底には土壌細菌の生息基盤となるソイルや小砂利等を敷いたほうが効果的です。
・最初は週に1回ずつ1ヶ月ほど続けて投入してください。
・投入頻度や投入量が多ければ先住のバク テリアに負けることなく定着する可能性 が高まります。
入れすぎによる弊害はありません。
・水温は特に気にする必要はありません。
・淡水、海水共にお使いいただけます。
・投入直後は右の写真のように飼育水が茶 色く色づきますが、3時間ほどで元の透 明度を取り戻します。
使用効果
・水槽内の主役とも言える硝化菌も大量に含んでいますので、硝化環境が構築されます。
(ゼロからのスタートの場合、念のため1ヶ月ほどの熟成期間を見込んでください。)
・脱窒能を持った菌群も含まれていますので、条件設定があれば脱窒も行います。
・投入2〜3週間目くらいから有機物の分解が進み、水の透明度がよくなります
・魚の排泄物なども分解され、臭いが少なくなります。
・水が腐敗し難くなります
・生体の体内にも取り込まれ、腸内細菌が活性化することにより健康状態が改善されます。
・水質が改善されると生体のストレスも減少するため病気の発生が抑制されます。


